ブランドオーナーの松岡達也です。
世の中にはその道を極めた達人ともいうべき人がいる。往々にして多芸である事があり、武道を極めながら、書や絵においてもプロ級の腕前をみせる。
とある場所に住む、とある達人をたまに訪ねる。70を超える年だが、筋骨隆々、若者が持ち上げるに苦労する重たいものをヒョイと持ち上げる。
初めて面会した時、その怪力ぶりに驚く私に『うーん。わかっとらんようだが、もうこの年だ。別に力があるわけではない。特別な事でも、手品でもない。要はコツだよ、コツ。スポーツでも、絵でも書道でも歌でも、どんな事でも全てコツがあるという事。』と淡々と語る。
『コツを掴めば何てことはないものだ。』と語り、いくつかの事例を出して説明し、場合によってはその場でやってみてくれる。
鉛筆を持ち、絵を描きはじめた。しばらく経つと私の顔を写真で撮ったかのような見事な鉛筆画が完成した。どうみても、白黒写真にしか見えない。
『こいつは少しばかりコツを掴むのに時間がかかる。しかし、基本は一緒だ。』と語る。
集中する事が全てに繋がる、という。ボクシングなどに代表される格闘技は始まる前にどちらが勝つか大体わかると言い切る。
では、『集中する事とは?』とその方法を聞くと?
『この瞬間しかなく、明日はない』と追い込む。
要は『必死の力だ』という。
それがコツの一つだといい、中心点がどこかを考える事だという。
何やら禅問答のようだが、目の前で様々な事を目にすると、言ってる意味がまるでわからないわけではない。
達人いわく、その瞬間、瞬間で、明日は来ないと覚悟し、全力かつ、必死の心で取り組む事が成功するポイントの一つのようである。